賃貸併用住宅に小規模宅地等の特例は適用されるのか知りたい
賃貸併用住宅は、要件が満たされていれば小規模宅地等の特例が適用されます。小規模宅地等の特例は、不動産の評価額を最大80%減額できるため、相続人(配偶者や同居している子供など)に、大きな負担をかけずに相続することができます。しかし、特例の要件が満たされない場合は適用できないため注意が必要です。
このコラムでは、小規模宅地等の特例について詳しく解説しております。小規模宅地等の特例について知りたい方はご参考になさってください。
※2024年9月時点の情報
小規模宅地等の特例が適用されるケース
小規模宅地等の特例が適用されるのは、相続人が相続する以前から被相続人と同居していた場合です。なぜなら、同居は小規模宅地等の特例の適用要件だからです。
この特例は、同居していた親族が不動産を相続する際に、高額な相続税を納税できず、手放さなければならない状況をなくすためにつくられました。したがって「同居の親族であり、相続税の申告期限までずっと自宅を所有し、住んでいること」が基本的な要件となっているのです。
なお、主に以下のケースでは、同居していなくても小規模宅地等の特例が適用されます。
- 被相続人の配偶者
- 相続人が単身赴任中だった
- 被相続人が介護施設に入居していた ※別途要件を満たす必要がある
なお、同居していなかった親族が相続人でも、「家なき子特例」の要件を満たせば小規模宅地等の特例と同様に最大80%減額できます。
小規模宅地等の特例について~賃貸併用住宅の相続税対策になる?~
小規模宅地等の特例とは、相続税の負担を軽減するための制度で、賃貸併用住宅の相続税対策の一つとして注目されています。賃貸併用住宅の購入をご検討中の方の中には、資産として子供や親族に残したいとお考えの方もいらっしゃると思います。したがって、小規模宅地等の特例がどれほどの相続税対策になるのか、もっと詳しく知りたいですよね。
そもそも、賃貸併用住宅の賃貸部分については、家主やその親族でない第三者が入居しているため評価額が下がる傾向にあります。借家建付地の場合、評価の際には借地権割合と借家権割合を以下のように連乗します。
更地評価額×(1-借地権%×借家権%)
借家権割合は全国一律30%です。借地権割合は地域によって異なりますので、路線価図で確認しましょう。
また、現金に比べて評価額が低い点も、相続税対策として賃貸併用住宅が注目されている理由にあります。そして、要件を満たすことで小規模宅地等の特例により相続税が減額される点は、相続税対策として大きなメリットとなるでしょう。
ここからは、小規模宅地等の特例についてより詳しく解説していきます。相続税対策をしっかりと行うためにも、特例の内容をきちんと把握しておきましょう。
小規模宅地等の特例の要件
冒頭で解説したように、小規模宅地等の特例を適用するためには、相続人が被相続人と同居していることが基本的な要件です。このため、相続開始前から相続人がその土地に居住している必要があります。
注意が必要となるのは、同居とみなされないケースです。
たとえば、自宅部分と賃貸部分を区分登記しており、自宅部分に被相続人、賃貸部分に相続人が住んでいる場合は同居とみなされません。特に、2世帯住宅を建てる際に区分所有建物にしてしまうと、親世帯分のみの適用となり、相続人である子には適用されないため、注意が必要です。
また、一時的な同居や、住民票を移しただけで実際に同居していない場合も同居とみなされませんのでお気をつけください。
このように、同居の要件が満たされないと特例は適用されませんので、賃貸併用住宅の相続を考えている方は、事前に小規模宅地等の特例における同居の定義についてご確認ください。
小規模宅地等の特例で対象となる宅地の種類
小規模宅地等の特例では、対象となる宅地の種類ごとに、限度面積と減額割合が決められています。
▼利用区分の種類
- 居住用
- 事業用
- 貸付事業用
賃貸併用住宅の場合は、一般的に居住用宅地(特定居住用宅地等)と貸付事業用(貸付事業用宅地等)を適用することができます。もちろん、それぞれの要件を満たす必要があります。ここからは、宅地の種類ごとに、どのような建物に適用されるのか、また限度面積や減額割合についてご説明します。
居住用
居住用の区分では、被相続人が住んでいた建物に相続人が引き続き居住する場合に、「特定居住用宅地等」が適用されます。
▼特定居住用宅地等
- 限度面積・・・330㎡
- 減額される割合・・・80%
賃貸併用住宅においても、相続人が同居していた場合には、この特例を利用できる可能性があります。ただし、取得者によって「相続人が引き続きその建物に住み続けること」や、「相続開始時に居住している建物を過去に所有したことがないこと」など、いくつかの要件を満たしている必要があります。被相続人の配偶者が相続人となる場合は取得者ごとの要件はありませんが、その他の親族につきましては取得者ごとの要件を確認しておきましょう。
事業用
事業用の区分では、被相続人が生前に事業を行っていた宅地等に対して「特定事業用宅地等」が適用されます。
▼特定事業用宅地等
- 限度面積・・・400㎡
- 減額される割合・・・80%
特定事業用宅地等は、被相続人が貸付事業以外の事業をしていた場合、一定の要件を満たすと適用されます。賃貸併用住宅はこれに当てはまりませんので、事業用の区分では賃貸併用住宅は適用されません。
※店舗兼住宅(自営業)の場合は適用されます。
賃貸付事業用
賃貸付き事業用の区分には、「貸付事業用宅地等」と「特定同族会社事業用宅地等」の2種類があります。
▼貸付事業用宅地等
- 限度面積・・・200㎡
- 減額される割合・・・50%
被相続人の貸付事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業)に用いられている宅地等は、「貸付事業用宅地等」が適用されます。賃貸併用住宅はこれに当てはまるため、その他要件を満たしていれば適用されるでしょう。
▼特定同族会社事業用宅地等
- 限度面積・・・400㎡
- 減額される割合・・・80%
特定同族会社事業用宅地等は、被相続人が同族会社事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業を除く)に貸し付けていた宅地に適用されます。こちらは賃貸併用住宅に当てはまりませんので、適用されません。
賃貸併用住宅における建物や土地の評価方法
賃貸併用住宅において、小規模宅地等の特例は要件を満たさなければなりませんが、具体的な特例適用額を算出するためには、土地の評価額を知る必要があります。
土地の評価額(相続税評価)は、路線価方式または倍率方式を用いて算出され、賃貸部分と自宅部分をそれぞれ別々に評価します。賃貸部分は賃家建付地として評価するため、相続税の評価額が異なります。なお、相続税評価をご自身で行うのは難しいため、賃貸併用住宅の相続人となった方は税理士にご相談されることをおすすめします。
賃貸併用住宅のことでお悩みならはたらくおうちにご相談ください!
賃貸併用住宅を検討する際には、多くの悩みや疑問が出てくると思います。今回ご説明した小規模宅地等の特例のように、賃貸併用住宅でも適用される特例や制度をもっと知りたい方、その他知りたいこと、疑問に思っていることがある方は、弊社はたらくおうちへご相談ください。
はたらくおうちでは、賃貸併用住宅の土地や賃貸ニーズの調査から、設計、建築、賃貸管理までトータルでサポートしております。お問い合わせいただけましたら、賃貸併用住宅に熟知しているスタッフが、お問い合わせ内容にあわせて柔軟に対応いたします。賃貸併用住宅のことについてしっかりと相談できる住まいの未来相談も実施しておりますので、まずは下記お問い合わせ先よりお気軽にお問い合わせください。
▼お問い合わせ先
電話番号:0120-420-820(9:00~17:30 水曜休)
お問い合わせフォームはこちら
会員登録はこちら