団体信用生命保険について、徹底解説!
団体信用生命保険とは?
マイホームを購入する際には、住宅ローンを利用するのが一般的ですね。
しかし、住宅ローンは数千万円という大きな金額になることが多いので、
ローンを組む時にふと不安になることもあるでしょう。
「もしも病気になって、ローンの支払いが滞ったらどうしよう?」
「自分が死ぬようなことがあったら、家族がローンを払い続けるのだろうか?」
そんな不安を解消してくれるのが、団体信用生命保険。
これは住宅ローンの契約者が返済期間中に亡くなった場合、
住宅ローンの残額の支払い義務がなくなる保険です。
そのため、ローンの返済が終わっていなくても、
遺族は購入した家に住み続けることができます。
今回は、その団体信用生命保険について、保障内容や加入条件、
カバーされない場合やその対策法などを、ポイントごとに解説します。
これから家の購入を考えている方は、安心して住宅ローンを組むためにも、
団体信用生命保険について知ることが重要です。
住宅ローンを組む際に加入!
団体信用生命保険は、一部例外はありますが、金融機関で住宅ローンを組む際に
ローン契約者本人が加入することが義務付けられています。
その契約者が住宅ローンの支払い期間中に死亡した場合、
死亡時点から住宅ローンの残額が保険金でまかなわれます。
団体信用生命保険は、家を購入する方にとって非常に頼りになる制度なのです。
たとえば、賃貸物件を借りている場合、一家の生活を支えている方に
万が一のことが起きても、月々の賃料は支払う義務があります。
支払いができない状態が続けば、家を出ていくしかありません。
一方、住宅ローンを組んで家を購入した場合には、
一般的に団体信用生命保険に加入することになります。
この保険に加入していれば、一家の大黒柱が死亡するようなことがあっても、
遺族に家だけは残ります。
これは、住宅ローンを利用する方のみが受けられる大きなメリットです。
その上、ほとんどの場合、団体信用生命保険の保険料は住宅ローンの
「金利」に含まれているので、別途支払う必要はありません。(※1)
(※1. フラット35など、団体信用生命保険の加入が任意の住宅ローン商品を除く)
団体信用生命保険の注意点について
団体信用生命保険は、基本的に家の購入を決めて住宅ローンを組む際に加入します。
持病をお持ちの方だと加入できないことがありますが、
その場合はワイド団信というものもあります。
ワイド団信は、加入条件が緩和された団体信用生命保険です。
住宅ローンの審査は金融機関が行いますが、ワイド団信に加入できれば、
条件付きで住宅ローンが承認されるケースもあります。
しかし、ワイド団信にも入れない場合は、住宅ローンを使うことができません。
そもそも団体信用生命保険とは、債務者が死亡した際に残りの住宅ローンを
支払ってくれる、住宅ローン専用の生命保険です。
しかし銀行側としては、健康な方へ住宅ローンを融資して、
団体信用生命保険を使わずに住宅ローン全額を回収したいと考えます。
そのため、過去数年間に特定の病気にかかったことがある・持病がある・
手術歴や投薬歴があるなどの場合は、死亡するリスクが高いと判定され
加入できないことがあるのです。
もしも、団体信用生命保険への加入が危ぶまれるという理由で
住宅ローンを諦めようとしている方がいれば、
ワイド団信を取り扱っている銀行などに相談してみましょう。
団体信用生命保険の保障内容と加入条件とは?
次に、団体信用生命保険の保障内容や特約、加入条件についてご説明します。
<内容・特約>
団体信用生命保険に加入すると、住宅ローンの契約者が死亡した場合に
残りのローンの返済義務がなくなります。
ここで注意が必要なのは、ローンの契約者本人が「死亡」しなければ
住宅ローンの債務はなくならないという点。
病気やケガなどで就業不能の状態となっても、この保険は
適用されにくく住宅ローンもなくなりません。(※2)
そのため、長期的に働けなくなってしまった場合には、
収入がない状態でも月々の住宅ローン返済や生活費の工面などを
行わなければならず、家族の負担が大きくなってしまいます。
(※2. 銀行によっては、就業不能状態が半年~1年続いた場合に
団体信用生命保険が適用されることもあります。)
<3大疾病特約・8大疾病特約>
このように、団体信用生命保険では就業不能になっても保障されないことが
多いとわかりましたが、特約を付けることで保障の幅を広げることができます。
これが、「3大疾病特約・8大疾病特約」等の特約付き団体信用生命保険です。
特約で定められる病気にかかった場合、本人が死亡していなくても、
該当の病気と診断された時点で住宅ローン返済の負担がなくなります。
この特約には、通常の住宅ローン金利に0.3%程度上乗せすることで
加入できるので、負担もそれほど大きくありません。
ただし、加入の際の年齢は50歳前後となっていることが多いため、
その点には注意が必要です。
最近では特約保障を充実させる銀行も多く、金利の上乗せなしで
団体信用生命保険の特約が最初からプラスされている場合もあります。
銀行に住宅ローンの申し込みをする際に、扱っている
団体信用生命保険の加入手数料や金利をチェックして利用すると良いでしょう。
<団体信用生命保険に加入できる条件>
団体信用生命保険に加入するための条件は、主に年齢と健康状態になります。
申し込み可能な年齢は、団体信用生命保険の特約の有無に
よっても異なりますが、70歳未満が加入条件となっている金融機関が多く見られます。
一方健康状態では、審査の項目として以下が挙げられます。
- 直近3ヶ月の、医師による治療・投薬
- 直近3年以内の病気・手術、2週間以上にわたる医師による治療・投薬(※3)
- 手・足の欠損または機能障害、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能の障害
(※3. 銀行によっては直近5年以内の場合もあり、また、
ガンなどの特定の疾病については5年以内の病歴が審査項目となります)
この中に該当する項目があった場合は、告知が必要になります。
住宅ローンの借入金額によっては健康診断の受診や診断書の結果を
添付する必要がありますが、基本的に健康状態は自己申告に基づきます。
しかし、不実・虚偽の告知を行ってそれが明らかになった際には
団体信用生命保険の適用が受けられない場合もあるため、
自己申告であっても必ず事実に基づいた申告を行いましょう。
カバーしきれないリスクについて
先ほど述べたように、「就業不能状態」の場合、
団体信用生命保険に特約をつけないと住宅ローン返済の
支払い義務はなくならないのが一般的です。
ここでは、就業不能状態をカバーする、
特約を付ける以外の方法をご紹介します。
<医療保険・就業不能保険でカバー>
まずは、通常の医療保険や就業不能保険といった、
病気に備える保険に加入することが考えられます。
しかし、医療保険や就業不能保険では、保障内容によっては保障額が少なく、
治療費のみを補える程度、あるいは基本的な生活費のみを
カバーできる程度ということもあります。
その場合は、住宅ローン返済の負担までは補いきれないでしょう。
そのため、住宅ローン返済の負担を減らすために医療保険や就業不能保険への
加入を検討する場合には、保障金額をよく確認することが重要です。
<賃貸併用住宅に住む>
就業不能状態のもう1つの対策法としては、
マイホームとして賃貸併用住宅を建設することが考えられます。
賃貸併用住宅は、同じ建物の中にオーナーの自宅と
賃貸部分を併せ持った住宅です。
自宅スペースを50%以上確保すれば、住宅ローンの利用が可能なので、
団体信用生命保険のメリットを得ることができます。
その上、賃貸部分があるため、毎月決まった額の家賃収入を
確保することもできるのです。
つまり、団体信用生命保険に加入できるので、
住宅ローンの契約者が万が一死亡するようなことがあっても
ローンの返済義務は免除。
また、就業不能となった場合には家賃収入を住宅ローン返済の費用に充て、
ローン返済の負担を軽減させることが可能です。
上記のような死亡・就業不能の状態にならなかった場合でも、
賃貸併用住宅なら安定した家賃収入が発生するため、
定年後の収入源としても有望です。
近年になって、定年後の収入確保が非常に重要だということが
認識されるようになってきました。
老後は長く、貯金や年金があっても資金が底を尽くことも珍しくありません。
賃貸併用住宅に住めば継続的な家賃収入を期待できるので、
老後の生活を考える上でも心強いと言えます。
住宅ローンの返済や老後の生活に備えるという点から見て、
賃貸併用住宅は安心な住宅でしょう。
<住宅ローンと団体信用生命保険はセットで考える>
ここまで団体信用生命保険について説明してきました。
団体信用生命保険は、健康問題等で入れない場合を除いて、
住宅ローンを検討する方すべてが加入するべき保険です。
家を購入する際は、借り入れ可能な金額や、金利が低い銀行などを
まず優先して考えがちです。
しかし、「自分が病気で倒れて、住宅ローンの支払いが
難しくなることもありえる」という点を考慮して、
団体信用生命保険や特約を検討することも忘れないようにしましょう。
また、マイホームの購入にあたって、不動産会社側から提示された購入費用が、
自分の予算の上限いっぱいになることもあるでしょう。
自分にとって住みやすい家を追求した結果であれば、
これ自体が悪いこととは言えません。
しかし、住宅ローンの資金計画表に記載されているのは
「借り入れ可能」な金額ではあるものの、必ずしも「支払える」金額ではありません。
将来起こるかもしれないリスクに対応できるよう、団体信用生命保険の情報は
忘れずに収集し検討しておきましょう。