3ステップで確認!不動産の賃料を決める方法
収益用不動産のオーナーにとって避けられない悩みが「賃料設定」です。
賃料が高ければ入居者が決まりづらく空室が続いてしまいますし、
その反面、賃料を安くすると入居者が決まってもあなたの利益は減ってしまいます。
ジレンマとの闘いとも言える賃貸物件の家賃設定ですが、
賃料を決めるための要素を把握すれば簡単に設定できます。
この記事では、賃貸併用住宅を経営するにあたって事前に知っておくべき
「賃料の決めかた」を解説します。
「賃料はたった3ステップで設定できる!」ということが
お分かりいただけるはずですので、ぜひ最後までご覧ください!
賃料を決める基本的な考えかた
そもそも賃貸住宅における家賃は、オーナーが自由に決められます。
特に法による縛りもないため、賃料はオーナー都合でいかようにも設定できるのです。
よって家賃を低く設定して「入居者に喜んでもらいたい」と考えるオーナーもいれば、
家賃を高く設定して収入を多く得たいと考えるオーナーもいます。
つまり賃料設定は、「入居者ニーズ」と「オーナー視点」の両面から考える必要があるのです。
入居者ニーズでの賃料設定
賃料を最終的に決定する大事な要素となるのが、「入居者ニーズ」です。
入居者ニーズとは、「入居者が魅力的に感じる家賃設定」。
賃料が低すぎると怪しい物件と思われかねません。
入居者にとって魅力的な賃料はさまざまな視点から考えられますが、
まずは「周辺の家賃相場に沿っているか」が基本です。
家賃相場を把握したら、築年数や駅までの距離、設備、地域の利便性といった
要素をもとに賃料を増減して調整をします。
家賃相場と各要素による賃料の調整が完了すれば、
入居者にとって魅力的な家賃設定が見えてくるはずです。
オーナー視点での賃料設定
賃料はあなたにとって大事な収入源です。
相場をもとにした賃料が見えてきたら、「オーナー視点」での賃料も考えなければいけません。
オーナー視点での賃料は、「経費+利益」と考えればわかりやすいでしょう。
物件を運営するにあたって必要な費用を洗い出し、毎月かかる費用の
合計額に対して上乗せする利益を考えるのです。
家賃の設定は、入居者ニーズとオーナー利益のバランスが重要です。
おおまかにでもオーナー視点での家賃を設定したら、前述の入居者ニーズによる
家賃設定と大きく外れていないかを確認しましょう。
では具体的にどういった手順で賃料を設定していくのかを3ステップで解説します。
1.賃料を決める前の調査
賃料設定で最初におこなうべきなのが「家賃相場の調査」です。
調査と言っても難しい作業ではなく、主に以下2つの方法が有効です。
- インターネットの不動産ポータルサイトで調べる
- 不動産会社へのヒアリング
最初にインターネットの不動産ポータルサイトを使用し、
自身が所有する物件の所在地付近で似たような間取りや築年数の物件を選定します。
選定した物件がどのくらいの家賃であるかを確認し、もし複数の物件が見つかるようなら
家賃の平均を出してみても良いでしょう。
そのうえで同じエリアを担当する不動産会社に連絡、訪問し、適正な家賃をヒアリングすれば、
より適正な家賃相場がわかってくるはずです。
なお、ここで把握した賃料はあくまで第一段階ですので、一旦のベンチマークとしておきましょう。
2.入居者とオーナーの視点で賃料を設定する
物件を調査して家賃相場が見えてきたら、今度は自分が所有する物件の賃料を設定する作業です。
前述のとおり、家賃の設定は「入居者視点」、「オーナー視点」の
両面から考えなければいけません。
入居者視点での賃料設定
家賃相場を調査して自分の所有するのと似たような物件があったとしても、
その物件の家賃が適正とは限りません。空室だからこそポータルサイトに掲載されているのであり、
空室になっている原因があるはずなのです。
入居者視点で考えたとき、賃料を左右する要素はたくさんあります。
【賃貸物件の家賃を左右する要素】
自分がその物件に住むという前提で見たとき、賃料をどう設定すれば
空室が埋まるか考えてみましょう。
上記の賃料を左右する要素を参考にしつつ、1,000円や2,000円といった単位で
設定する賃料を調整すれば入居者視点での賃料に近づくはずです。
経費をもとに賃料のボーダーラインを決める
続いて賃貸経営で必要な「毎月の経費」を洗い出します。
毎月の経費とはローン返済や管理費、修繕費といった費用を指し、
毎月かかる経費の額こそが、「設定すべき最低限の賃料水準」と言えるでしょう。
家賃設定にあたり、最低でも毎月の費用を払えるだけの収入は確保しなければいけません。
経費以下の賃料に設定すれば、当然ながら毎月赤字が発生します。
入居者に喜んでもらおうと家賃を安くするのは良いことですが、
家賃収入が少なすぎて毎月赤字では本末転倒です。
賃料設定において、毎月発生する費用がボーダーラインということは
しっかり理解しておきましょう。
純粋な利益
賃貸経営で得られた収入から経費を支払い、手元に残る最終的なお金が「純粋な利益」です。
残った利益は自由に使えるお金になるため、どのくらいの利益を賃料に上乗せするかは
悩みどころになります。
そのため賃料に上乗せする利益分は、「賃貸経営をはじめる際の投資額を早めに回収する」、
「将来の大規模修繕に備えて積み立てる」などの目的を持たせると決めやすいでしょう。
前述の毎月支払う経費に、投資額の回収分や積立金として賃料を上乗せするのです。
毎月の経費に対して純粋な利益を上乗せし、最初に確認した家賃相場から大きく外れていなければ
適正な家賃設定をできていると言って良いでしょう。
3.家賃交渉や値下げの幅を考慮しておく
前述までのステップを踏めば、賃貸物件で設定すべき賃料がおおむね見えてくるはず。
ただ忘れがちなのが、「家賃を交渉された際の対応」です。
必ず入居者から家賃を交渉されるわけではありませんが、以下のようなタイミングにおいては
家賃の見直しを検討しなければいけません。
【家賃の値下げを検討する主なタイミング】
- 入居希望者からの家賃交渉
- 既存の入居者からの家賃交渉
- 空室が続いた際の家賃の値下げ
築年数の経過による老朽化や引っ越しシーズンに空室が埋まらないケースなど、
家賃の値下げを検討すべき時期は必ず訪れます。
ただし、家賃の値下げは最後の手段とすべきです。
家賃収入は不動産の価値を決める大事な要素。つまり家賃が低い物件は収益用不動産としての
評価も低くなるため、売却時の価格も安くなってしまうのです。
そのため家賃の値下げ幅を考慮するにしても、せいぜい3,000円くらいまでに抑えるべきです。
一度下げた家賃は元に戻しづらいため、いきなり1万円や5,000円という
大幅な値下げをしないよう注意して検討しましょう。
入居者とオーナーがwin-winになれる賃料を考えよう!
では最後に今回解説した賃料の決めかたについて、ご紹介した順でまとめておきましょう。
- 賃料を決める際は「入居者ニーズ」と「オーナー視点」のバランスが大事!
- 賃料を決める前に、家賃相場を調べてベンチマークを把握しておこう!
- 調査した空室物件と自分が所有する物件を比べて、いくらであれば空室が埋まりそうか考えよう!
- オーナー視点で賃料を設定する際は、「経費+利益」で考えよう!
- 賃料が決まったら、家賃交渉や値下げの幅を考慮しておこう!
賃貸併用住宅に限らず、不動産を運営するというのは事業をおこなうことと同義であることは
忘れてはいけません。事業をおこなうのであれば、必ず利益を生まなければならないのです。
また賃貸経営において、いかに経費を抑えて利益を多くするかが
オーナーの使命と言っても過言ではないでしょう。
今回解説した賃料の決めかたを参考にしていただき、入居者とオーナーが
win-winの関係になれるような家賃をぜひ考えてみてください!