賃貸併用住宅は区分登記と単独登記どちらにすべき?
賃貸併用住宅の登記には、区分登記と単独登記の2つの選択肢があります。どちらでも登記は可能なため、どちらで申請すべきか悩まれる方もいらっしゃるでしょう。それぞれ、異なる特徴とメリット・デメリットがありますので、しっかりと理解してどちらで登記を行うかを決めましょう。
このコラムでは、区分登記を中心に、単独登記との違いやメリット・デメリットなどを、わかりやすくご紹介します。賃貸併用住宅についてより理解を深めるために、登記について知りたい方はぜひご参考になさってください。
区分登記と単独登記の違い
区分登記と単独登記には明確な違いがありますので、まずは違いを見ていきましょう。
区分登記は、賃貸部分と自宅部分を別々に登記する方法です。したがって、賃貸部分と自宅部分がそれぞれ独立した不動産として扱われます。
一方、単独登記は建物全体を一つの不動産として登記する方法です。手続きが比較的簡単で、登記費用や手続きの手間を抑えることができます。
登記の種類によって、賃貸併用住宅のローンの組み方や特例の適用にも違いが出るため、ここでご紹介した基本的な違いを踏まえた上で、区分登記のメリットとデメリットを見ていきましょう。
賃貸併用住宅を区分登記するメリット・デメリット
賃貸併用住宅を区分登記する前に、メリット・デメリットを確認しておくことは重要です。金利の低い住宅ローンを利用したい方や、将来お子様や親族に賃貸併用住宅を資産として残したい方は、特にメリットとデメリットを把握しておくとよいでしょう。また、区分登記にするか単独登記にするか悩んでいる方も、メリット・デメリットを把握することで、どちらで登記するとよいのか判断しやすくなるでしょう。
ここからは、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。
賃貸併用住宅を区分登記するメリット
一般的に、賃貸併用住宅を建てる際に住宅ローンを活用する場合、自宅部分の床面積が建物の半分以上でなければ融資が受けられません。しかし、区分登記をすることで、自宅部分の割合の制約を受けずに住宅ローンを利用することができます。ただし、賃貸部分は住宅ローンではなく、アパートローンを併用することになります。このように、自宅となる部分と賃貸部分を別々に登記するため、それぞれの目的に応じて適したローンを組むことができるようになります。
また、区分登記をすることで、賃貸併用住宅を1戸単位で売却することが可能になります。そのため、将来的に賃貸併用住宅の一部を手放したいとお考えの方には、メリットは大きいと言えるでしょう。
賃貸併用住宅を区分登記するデメリット
区分登記には、メリットがある一方で、デメリットもあります。まず、区分登記を行うことで、小規模宅地等の特例の要件を満たせない可能性がある点です。賃貸併用住宅は、賃貸部分と自宅部分を別々に登記することにより、自宅としての扱いが限定されてしまいます。小規模宅地等の特例は、基本的に被相続人と同居していた場合に適用されます。したがって、相続人が賃貸部分に住んでいた場合、区分登記をしていると同居と認められない可能性があるのです。
さらに、住宅ローンとアパートローンの併用により、諸費用が増えるというデメリットもあります。複数のローンに伴う手続きや手数料が発生するため、初期費用が高くなってしまうのです。金利の低い住宅ローンが利用できる点は、賃貸併用住宅の強みでもあるため、住宅ローンのみの利用をお考えの方は区分登記は避けた方がよいでしょう。
区分建物表題登記の申請方法
登記の申請方法や費用は、新築の場合とすでに存在する非区分建物の場合で異なります。今回は、新築の賃貸併用住宅を区分建物として表題登記することを想定して、区分建物表題登記の申請方法と費用についてご説明します。賃貸併用住宅の区分建物表題登記の申請をご検討されている方は、参考になさってください。
区分建物表題登記は申請が複雑で、各書類の準備、申請書の作成、法務局への提出など、いくつかのステップがあります。また、区分建物表題登記には手数料がかかりますし、申請を代行する場合は報酬額を支払う必要があります。登記を行う前に申請方法や手続きの流れを調べておきましょう。
区分建物表題登記の申請の流れ・方法について
新築の賃貸併用住宅の場合は、1か月以内に表題登記の申請をする必要があります。区分建物ごとに分けて申請することはできませんので、すべて同時に表題登記の申請をしなければなりません。申請の際には、申請書のほかに印鑑証明書や住民票などが必要となります。各書類が揃ったら法務局に提出します。提出後、審査が行われ、問題がなければ登記完了となります。
申請書には、登記する不動産の詳細や区分ごとの情報を正確に記載することが求められます。専門的な知識が必要となりますので、資格を持つ土地家屋調査士に代行してもらうとよいでしょう。
区分建物表題登記に必要な費用は?
区分建物表題登記には手数料がかかります。主に、登記に必要となる各種証明書の発行に手数料がかかります。書面請求とオンライン請求で手数料額は異なりますのでご注意ください。なお、登記の際に登録免許税はかかりません。
※すでに存在する非区分建物を区分登記する場合(建物区分登記)は登録免許税がかかります。
申請を土地家屋調査士に依頼する場合は、その報酬が必要となります。報酬額は依頼先によって異なりますが、区分建物表題登記の報酬額は約20万円以上~となります。区分建物の数や、その他必要となる手続きが多ければ多いほど報酬額は高くなります。
また、そのまま登記してしまうと敷地権(土地と建物が一体化する)が設定されるため、分離処分可能規約の設定が必要になります。その場合、公正証書の作成が必要となり、手数料が別途3~5万円程度かかります。
賃貸併用住宅の区分登記に関するお問い合わせはこちら
賃貸併用住宅の区分登記について、メリット・デメリットや申請方法などについてご紹介しました。賃貸併用住宅の購入をお考えの方の中には、登記以外にも気になっていることや疑問がたくさんあると思います。
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